国内旅行業務取扱管理者は役に立つか|資格が必要になる場面
著者:ebizuka/公開:2026-09-23
国内旅行業務取扱管理者は、持っていると有利になる資格ではなく、いないと営業所が旅行業務を扱えなくなる資格です。法律上どこで必要になるのか、実際に受けているのはどんな人か、自分で旅行業を始める場合に何が要るのかを、条文と公式データからまとめました。
この資格は「あると有利」ではなく「いないと営業できない」
資格の価値を考えるとき、ふつうは「持っていると何ができるか」を見ます。この資格は、そこが少し違います。
旅行業者と旅行業者代理業者は、営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者を選任しなければならない(旅行業法 第11条の2)
そして、選任していた人が欠けた営業所では、新たに選任するまで旅行業務に関する契約を締結できません。猶予期間はありません。つまり、資格者がいなくなった時点で、その営業所は旅行の取引を止めることになります。
これが需要の正体です。旅行業を営む会社は、営業所の数だけ資格者を確保し続けなければなりません。退職や異動で欠ければ、すぐに埋める必要があります。「持っていると評価される」というより、「事業を続けるために必要な人」という位置づけです。
必要になる場所は、旅行会社だけではない
選任義務があるのは、次の事業者です。
- 旅行業者:第1種から地域限定まで、すべての種別
- 旅行業者代理業者:代理だから不要、ではありません
- 旅行サービス手配業者:いわゆるランドオペレーター。営業所ごとに1人以上の旅行サービス手配業務取扱管理者が必要です(法 第28条)
3つ目は、2018年1月の改正でできた制度です。それまで登録が要らなかった手配専門の事業者に、登録と取扱管理者の選任が求められるようになりました。資格が必要とされる場所が、このとき一段広がっています。
扱う旅行が国内だけなら、国内旅行業務取扱管理者で足ります。海外旅行を扱う営業所には総合が必要です。この線引きは国内と総合、どちらから受けるかにまとめています。
実際に受けているのは、業界の外の人のほうが多い
全国旅行業協会は、受験者の職業別の内訳を公表しています。令和7年度の申込者12,376人の内訳です。
| 職業 | 申込者 | 合格者 |
|---|---|---|
| 会社員(旅行・運送・宿泊・観光業以外) | 31.4% | 36.8% |
| 学生 | 30.0% | 23.7% |
| 旅行業 | 14.7% | 13.5% |
| 運送業・宿泊業・観光業 | 14.6% | 13.4% |
| 無職・その他 | 9.3% | 12.6% |
旅行業に就いている人は、申込者の14.7%にすぎません。いちばん多いのは、旅行や観光とは別の仕事をしている会社員です。この資格は、業界の中の人が取る資格というより、これから関わろうとする人が入口として取る資格になっている、と読めます。
年代別に見ると、50代・60代の合格の割合が高いことも分かっています。詳しくは40代・50代からの挑戦にまとめました。
自分で旅行業を始める場合に要るもの
資格を取ったうえで、自分で旅行業を始めることもできます。ただし、資格だけでは始められません。事業者としての登録が別に必要です。
登録には、種別ごとに一定以上の財産(基準資産額)が求められます(規則 第3条)。
| 種別 | 扱える範囲 | 基準資産額 |
|---|---|---|
| 第1種 | 海外の募集型企画旅行を含むすべて | 3,000万円 |
| 第2種 | 海外の募集型企画旅行以外 | 700万円 |
| 第3種 | 国内の募集型企画旅行は一定の区域内のみ | 300万円 |
| 地域限定 | 一定の区域内の国内旅行のみ | 100万円 |
地域限定旅行業なら100万円です。地元の範囲でツアーを組む、といった形なら、小さく始められる設計になっています。実際、地域限定は2018年の改正であわせて整えられた枠組みです。
このほか、登録の申請先(第1種は観光庁長官、それ以外は都道府県知事)、営業保証金の供託、営業所ごとの取扱管理者の選任が必要になります。数字は旅行業法の数字まとめに条文の場所つきで整理しています。実際に登録するときは、必ず最新の案内で条件を確かめてください。
年収について書かない理由
「旅行業務取扱管理者の年収は◯◯万円」という情報をよく見かけますが、この記事では数字を出しません。
この資格の単位での賃金は、公的に公表されていないためです。国の統計は職業の単位で取られていて、「この資格を持っている人の年収」という区切りでは集計されていません。出典を示せない数字を載せるより、出さないほうが誠実だと考えています。
そのうえで言えることは、前の項までに書いたとおりです。この資格は営業所ごとに必ず1人以上必要で、欠ければ取引を止めることになります。その需要が待遇にどう反映されるかは、会社や地域によって違います。気になる場合は、志望する会社の求人で「旅行業務取扱管理者」が条件や歓迎要件に入っているかを見るのが、いちばん確かです。
まとめ
- 営業所ごとに1人以上が法律で義務づけられている。欠けると契約を締結できない
- 必要なのは旅行会社だけでなく、旅行業者代理業者と旅行サービス手配業者も
- 受けているのは業界の外の人のほうが多い(申込者のうち旅行業は14.7%)
- 自分で始めるなら登録が別に必要。地域限定なら基準資産額100万円
資格そのものの内容や試験の概要は国内旅行業務取扱管理者とはに、どんな問題が出るのかは練習問題で確かめられます。
出典
この記事の内容は、次のページで確かめました。制度や日程は変わることがあるので、受験の手続きは必ず公式の案内でご確認ください。
- e-Gov 法令検索「旅行業法」(選任義務・旅行サービス手配業)(2026-09-23 確認)
- e-Gov 法令検索「旅行業法施行規則」(基準資産額・登録の申請先)(2026-09-23 確認)
- 全国旅行業協会「令和7年度 国内旅行業務取扱管理者試験 実施結果一覧表」(PDF。職業別の内訳)(2026-09-23 確認)
- 観光庁「旅行業務取扱管理者」(2026-09-23 確認)