旅行業法・約款の改正まとめ|古い教材と答えが変わるところ
著者:ebizuka/公開:2026-09-23
旅行業法と標準旅行業約款は改正されます。改正されると、過去問の当時の正解が今の正解ではなくなります。懲役から拘禁刑への変更、登録拒否事由の見直し、約款の改正、試験がCBTになったこと。改正を自分で確かめる手順もまとめました。
過去問の「当時の正解」が、いまの正解とは限らない
過去問は出題範囲をつかむのに欠かせませんが、ひとつだけ弱点があります。法令や約款が改正されると、当時の正解が今の正解ではなくなることです。
厄介なのは、間違いに気づきにくいことです。過去問には公式の正解が付いているので、その通りに覚えてしまいます。市販の教材も、刊行年によっては改正前のままです。
ここでは、いま学習している人が引っかかりやすい改正を集めました。最後に、改正を自分で確かめる手順も書いています。
近年の改正(旅行業法)
e-Gov 法令検索で旅行業法の改正履歴を見ると、近年は次の3つです。
| 施行 | 変わったこと |
|---|---|
| 2025年6月1日 | 旅行業法の条文の「懲役」が「拘禁刑」に刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号) |
| 2019年9月14日 | 登録拒否事由から「成年被後見人・被保佐人」が外れ、「心身の故障により…」に成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律 |
| 2018年1月4日 | 旅行サービス手配業の登録制度と、地域限定旅行業務取扱管理者ができた通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律 |
収録されている過去問は令和3年度からなので、2018年の改正はすべての年度に反映済みです。注意が要るのは上の2つ、とくにいちばん新しい拘禁刑の件です。
「懲役」は「拘禁刑」になった(2025年6月1日)
刑法の改正で懲役と禁錮が一本化され、拘禁刑になりました。これに伴って、旅行業法の条文の刑の名前も置き換わっています。
登録拒否事由:「拘禁刑以上の刑に処せられ、…その執行を終わった日から5年を経過していない者」(法 第6条第1項第2号)
以前は「禁錮以上の刑」と書かれていました。罰則の条文も同じで、無登録営業などは「1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金」です(法 第74条)。
中身の考え方は変わっていません。「5年を経過していない者は登録を受けられない」という結論は同じです。変わったのは言葉だけなので、古い過去問を解いて「禁錮」と書かれていても、論点としては今も有効です。用語だけ置き換えて覚えてください。
ただし、いま買う教材が「禁錮」のままなら、それは2025年6月より前に作られたものです。ほかの箇所も古い可能性があるので、刊行年を確かめてください。
登録拒否事由から「成年被後見人」が消えた(2019年9月14日)
以前は、成年被後見人や被保佐人であること自体が登録拒否事由でした。これが見直され、いまはこう書かれています。
心身の故障により旅行業若しくは旅行業者代理業を適正に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの、又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(法 第6条第1項第6号)
省令のほうでは「精神の機能の障害により旅行業又は旅行業者代理業を適正に遂行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」と定められています(規則 第2条の2)。
資格の有無ではなく、実際に業務を遂行できるかどうかで判断する形に変わった、ということです。古い教材に「成年被後見人は登録を受けられない」と書かれていたら、それは改正前の記述です。
登録拒否事由の全体は旅行業法の数字まとめに、条文の場所つきで整理しています。
標準旅行業約款も改正されている(令和8年4月1日から適用)
約款も変わります。いま適用されているのは、令和8年3月9日に改正され、令和8年4月1日から適用されている版です(観光庁・消費者庁告示第一号)。
ここで正直に書いておきます。この改正で具体的に何が変わったかは、告示にも観光庁のページにも差分の説明がありません。そのため、この記事では「改正があった事実と、いま適用されている版」までにとどめます。
実務上は、これで十分でもあります。やるべきことは、差分を追うことではなく、取消料や変更補償金などの数字を最新の告示で確かめることだからです。数字は約款の数字まとめに、最新の告示から取って載せています。
なお、標準旅行業約款は法律ではなく告示なので、e-Gov 法令検索には入っていません。検索してもヒットするのは旅行業法側の参照だけです。原文は観光庁の「旅行業法及び省令等」のページから辿ります。
試験そのものも変わった:令和6年度から筆記を廃止
法令ではありませんが、試験の形式も変わっています。全国旅行業協会は、令和6年度の試験から筆記での試験を廃止しました。いまはCBT方式だけです。
- 全国47都道府県の会場から、約3週間の期間の中で日時を選んで受ける
- 受験票は郵送されない(メールと受験者マイページで確認する)
- 試験室には所持品を持ち込めない(筆記用具とメモ用紙は会場で貸し出される)
- 公開されるのは「問題」ではなく「出題例」になった
古い受験体験記を読むときは、この点に注意してください。「試験日は年に1日」「受験票が届く」といった記述は、いまは当てはまりません。いまの日程と手続きは日程・申込・手数料にまとめています。
改正を自分で確かめる手順
この記事も来年には古くなります。そのときのために、確かめ方を書いておきます。3つとも無料で、登録も要りません。
- 法律・省令 … e-Gov 法令検索。条文そのものと、改正の履歴(施行日・改正した法律の名前)が読めます。旅行業法と旅行業法施行規則の両方を見ること。数字は省令のほうに書かれていることがあります
- 標準旅行業約款 … 観光庁「旅行業法及び省令等」。告示なので e-Gov には無く、ここからPDFを開きます。表題に「令和◯年◯月◯日改正反映」と入っているので、自分の教材より新しいかどうかがすぐ分かります
- 試験の形式・日程 … 全国旅行業協会。受験案内とよくある質問。形式の変更はここに出ます
見るタイミングは、年に1回で足ります。受験する年の受験案内が出る6月ごろに、3つとも開いて自分の教材と突き合わせてください。10分ほどで終わります。
なお、旅夢中の解説は、法令が絡む部分については条文で確かめたうえで直しています。気づいた誤りがあれば、問題の画面の報告ボタンかお問い合わせからお知らせください。
出典
この記事の内容は、次のページで確かめました。制度や日程は変わることがあるので、受験の手続きは必ず公式の案内でご確認ください。
- e-Gov 法令検索「旅行業法」(条文と改正履歴)(2026-09-23 確認)
- e-Gov 法令検索「旅行業法施行規則」(2026-09-23 確認)
- 観光庁「旅行業法及び省令等」(標準旅行業約款の告示へのリンク)(2026-09-23 確認)
- 全国旅行業協会「よくある質問」(令和6年度から筆記を廃止)(2026-09-23 確認)