標準旅行業約款の数字まとめ|取消料・変更補償金・特別補償
著者:ebizuka/公開:2026-09-23
国内旅行業務取扱管理者試験の「約款」で問われる数字を、標準旅行業約款の原文にあたって整理しました。国内旅行の取消料の率、変更補償金の率と限度、特別補償の補償金と見舞金の額、混同しやすい「15」と日数のまとめ。
お金の数字は3系統ある
約款でお金が動く場面は3つあります。まずこの3つを分けてください。混ぜて覚えると、どの表を見ればいいのか分からなくなります。
- 取消料:旅行者が解除したときに払うもの。旅行代金に対する「率」で決まる
- 変更補償金:重要な変更があったときに旅行業者が払うもの。こちらも「率」
- 特別補償:旅行中のけがなどに対して旅行業者が払うもの。こちらだけ「額」で決まっている
率で決まるのが取消料と変更補償金、額で決まるのが特別補償
以下の数字は、すべて標準旅行業約款(国土交通省告示)の原文で確かめたものです。試験は国内旅行が範囲なので、国内の数字だけを載せています。
取消料(国内・募集型企画旅行)
旅行者はいつでも解除できますが、時期に応じて取消料がかかります(別表第一)。日帰り旅行だけ、最初の刻みが変わります。
| 解除する時期 | 取消料 |
|---|---|
| 旅行開始日の前日から起算してさかのぼって20日目(日帰りは10日目)に当たる日以降 | 20%以内 |
| 同じく7日目に当たる日以降 | 30%以内 |
| 旅行開始日の前日 | 40%以内 |
| 旅行開始当日 | 50%以内 |
| 旅行開始後の解除、または無連絡不参加 | 100%以内 |
20・30・40・50・100という並びになっています。前日で40%、当日で50%、始まってしまえば100%。「直前になるほど10ポイントずつ上がり、始まったら全額」と流れで覚えると出てきます。
なお、率はすべて「以内」です。実際にいくらになるかは契約書面に明示されます。また、取消料は旅行者から解除したときの話です。旅行業者が最少催行人員に達せず解除する場合は、国内旅行なら旅行開始日の前日から起算してさかのぼって13日目(日帰りは3日目)に当たる日より前に通知します。
変更補償金(旅程保証)
契約内容に重要な変更があったとき、旅行業者は旅行代金に下の率を乗じた額以上を支払います(別表第二)。同じ変更でも、旅行が始まる前に知らされたか、始まってから知らされたかで率が倍になります。
| 変更の内容 | 開始前 | 開始後 |
|---|---|---|
| 旅行開始日または旅行終了日の変更 | 1.5% | 3.0% |
| 入場する観光地・観光施設その他の目的地の変更 | 1.0% | 2.0% |
| 運送機関の等級・設備が、より低い料金のものへ | 1.0% | 2.0% |
| 運送機関の種類または会社名の変更 | 1.0% | 2.0% |
| 宿泊機関の種類または名称の変更 | 1.0% | 2.0% |
| 客室の種類・設備・景観などの条件の変更 | 1.0% | 2.0% |
| 上のうち、ツアー・タイトルに書かれていた事項の変更 | 2.5% | 5.0% |
ほとんどが1.0%と2.0%で、例外が2つだけです。日程の変更が1.5/3.0、ツアー・タイトルに書かれていた事項の変更が2.5/5.0。「基本は1と2、日程は1.5と3、タイトルは2.5と5」と覚えれば表ごと再現できます。
額のほうにも決まりがあります。
- 限度は、旅行者1名・1旅行につき旅行代金の15%以上の、旅行業者が定める率を乗じた額
- 支払うべき額が1,000円未満のときは支払わない
- 支払いは旅行終了日の翌日から起算して30日以内
天災地変・戦乱・暴動・官公署の命令・運送や宿泊のサービス提供の中止などによる変更には、変更補償金は支払われない
ここが特別補償との決定的な違いです。旅程保証は原因を問い、特別補償は原因を問いません。詳しい考え方は募集型企画旅行の練習問題で扱っています。
特別補償(国内旅行)
旅行業者に責任があるかどうかを問わず支払われるのが特別補償です(別紙 特別補償規程)。ここだけ率ではなく額で決まっています。
- 死亡補償金:1,500万円(海外は2,500万円)。事故の日から180日以内に死亡した場合
- 後遺障害補償金:上の額に、障害の程度に応じた割合を乗じた額
見舞金は日数で区切られています。国内旅行の場合です。
| 日数 | 入院見舞金 | 通院見舞金 |
|---|---|---|
| 180日以上 | 20万円 | — |
| 90日以上180日未満 | 10万円 | — |
| 90日以上 | — | 5万円 |
| 7日以上90日未満 | 5万円 | 2万5千円 |
| 3日以上7日未満 | — | 1万円 |
| 7日未満(入院) | 2万円 | — |
通院見舞金は3日以上から支払われます(3日未満は対象外)。また、入院と通院の両方が1日以上になったときは、金額の大きいほうだけを支払います。
携帯品の損害にも別の限度があります。
- 1個または1対につき10万円を限度とみなす
- 旅行者1名・1旅行につき15万円が限度
- 損害額が1回の事故につき3,000円を超えないときは支払わない
国内旅行では、地震・噴火・津波による傷害や損害は特別補償の対象外です。「原因を問わない」制度ですが、この3つだけは例外になっている点に注意してください。
紛らわしい「15」が3つある
約款には15という数字が3か所出てきます。どれも意味が違うので、並べて確認してください。
- 15%:変更補償金の限度(旅行代金に対する率)
- 15万円:手荷物・携帯品の賠償および補償の限度(旅行者1名につき)
- 15日目:旅行代金を増額するときに通知する期限(旅行開始日の前日から起算してさかのぼって15日目に当たる日より前)
「率の15、額の15、日数の15」。3つあると知っていれば、選択肢で入れ替えられても気づけます。
日数のまとめ
約款に出てくる期間は、意味ごとに分けると覚えやすくなります。
- 13日目(日帰りは3日目)より前:最少催行人員に達しないときの解除の通知(国内)
- 15日目より前:旅行代金の増額の通知
- 7日以内:旅行開始前の解除による払戻し(解除の翌日から起算)
- 30日以内:変更補償金の支払い、および減額や旅行開始後の解除による払戻し(旅行終了日の翌日から起算)
- 14日以内:手荷物の損害を旅行業者に通知する期限(国内。海外は21日以内)
- 2年以内:手荷物以外の損害について旅行業者に通知する期限
- 180日:特別補償で死亡・後遺障害を判定する期間(事故の日から)
ついでに、数字ではありませんが添乗員の業務時間帯も問われます。原則として8時から20時までです。
改正に注意:いまの版は令和8年4月1日から
標準旅行業約款は観光庁の告示で、改正されることがあります。いま適用されているのは、令和8年3月9日に改正され、令和8年4月1日から適用されている版です。
古い過去問や、刊行年の古い教材を使うときは、数字が当時のままになっている可能性があります。数字に違和感があったら、告示の原文にあたってください。下の出典から読めます。なお、約款は e-Gov 法令検索には入っていません(法律ではなく告示のため)。観光庁の「旅行業法及び省令等」のページから辿るのが確実です。
旅行業法側の数字は旅行業法の数字まとめに、条文の場所つきで整理しています。覚えたかどうかは約款の練習問題で確かめてください。
出典
この記事の内容は、次のページで確かめました。制度や日程は変わることがあるので、受験の手続きは必ず公式の案内でご確認ください。
- 観光庁「標準旅行業約款」(国土交通省告示第千五百九十三号。令和8年3月9日改正・令和8年4月1日適用)(PDF)(2026-09-23 確認)
- 観光庁「旅行業法及び省令等」(2026-09-23 確認)